砂漠の月歌 〜dream story〜




 しかし、王子の次の言葉は意外なものだった。



「……そうか…」


返ってきた返答は、たったそれだけだった。



「お、王子…」


執事は遠慮がちに呼び掛ける。もっと取り乱すと思っていたのだ。

そのままラウンジを出ようとする。



「王子!!何処行くんだよっ…?」



「宮殿の、外だが…」


宮殿から出るつもりの王子を、姐御が引き止めた。



「駄目だ。
国王が暗殺された今、次に狙われるのは
王子かもしれないんだよ…?」


しかし王子は気にも止めず、振り返る事もせずにラウンジを出た。



「おい…、」



「っ…分かってるよ…!!」


姐御に目で合図された執事は、ラウンジを飛び出して王子の後を追う。
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