砂漠の月歌 〜dream story〜
「いいじゃねーか。
小っさい頃から面倒見てんだからよ」
そして今この部屋にいる主こそが、国王の後継者である王子だった。
「はぁ…お前…
こんな時くらい俺を少しは敬えないのか?」
王子は面倒臭そうに言うと、執事は何かを思いついたように歌い出した。
「………。
はっぴぶぁーすでーつーゆー、
はっぴぶぁーすでーつーゆー、
はっぴぶぁーすでーうぃあ…「待て待て」
いきなり歌い出す執事を取り敢えず王子は止める。
「何だよ?分かったからちょっと待てって、
後ちょっとでサビに入るからよ。
はっぴぶぁーすでーうぃあ…「待て待て待て!!」
再び歌い出す執事を今度は全力で止める。
「敬えって言うから
祝ってやろうとしてんじゃんかっ」
「もう良いから、取り敢えず歌は止めろ…。
いっぺん自分で録音して聴いてみろ。
物凄く不愉快だぞ」
こんな単純馬鹿な執事のが自分より年上だと思うと、何だか情けない気がして王子は溜め息をつく。