砂漠の月歌 〜dream story〜
「……だが…」
しかし沈黙が続いた後、小さく呟いた。
「気遣ってくれた事は
感謝する…礼を言うぞ…」
「王子…」
そして王子は少しだけ振り返り、執事に薄く微笑んだ。
「考え事がしたい…
少し、一人にしてくれないか…?」
その表情は何処となく切なげに見えた。
「……あぁ、分かったよ…。」
執事から了承をもらうと、王子はもう一度微笑み、宮殿を出た。
……王子の背を見届けた後、執事はぼんやり空を見上げてぼやいた。
「はぁ〜…まーた、姐御にどやされるな…」
しかし執事はそうまでして、今は王子に一人の時間をあげたかった。