砂漠の月歌 〜dream story〜
02 街の動揺
一方、国王が暗殺された件は、既に街全体に広がっていた。
街の表参道もいつもより人々は多く賑わっていた。
「……本当なのか!?
国王様が亡くなられたって…」
「えぇ…とても信じられないけれど…」
朝から街中がその話で持ち切りだった。
「暗殺されたんですって…」
「一体誰がそんな卑劣な事っ…」
中でも、王子を憐れむ声が会話の中で聞こえてくる。
「お可哀相に…。
王子は今どうしているのかしら…?」
「さぁな…。でもそりゃショックだろ、
国王が亡くなられたんだから…。
まだ16になったばかりなのにな…」
つい一週間前の舞踏会では、随分ご立派になられて…、など褒めたたえていた街の者でさえ、いざこのような状況になると裏を返すように憐れみ始めている。
……今日も森を抜けて街に買い物にやってきた娘は、早速街の異変に気づいていた。
(どうしたんだろ…?街が騒がしいな…。)
そんな事を思いながら、いつものように表参道の中を歩いて魚屋に向かう。