砂漠の月歌 〜dream story〜
……そして沈黙の後、姐御は娘を真っ直ぐ見据える。
「今の王子は、孤独の中だ…。
長年傍に仕えていた執事ですら、
今回王子を止められなかった。
……でも香澄なら、もしかしたら…」
そう言い掛けた所で、姐御は我に返ったように言葉を呑み込む。
「いや、何でもない…忘れてくれ。
……とにかく、
街で王子を見つけるような事があれば、
知らせてくれないかい?」
「うん、分かった…。」
姐御が言い掛けた言葉の先が気になったが、姐御の今の心境を聞いて深くは追及しなかった。