砂漠の月歌 〜dream story〜
「俺は執事だから
これから色々用意しなくちゃならねーんだ。
お前は舞踏会に供えて、
下で衣装合わせ行ってこいよ
お前は王子なんだからよ…。」
……一瞬、執事の最後の言葉で王子の動きが止まる。
「……分かっている」
暫く間を置いてから諦めたように溜め息をつき、面倒臭そうに了承する。
王子が頷くのを確認した後部屋を出ようとした執事。
「…あ。」
扉の取っ手を握ろうとしていた手を止める。
すると何かを思い出したように振り返る。
「誕生日、おめでとさん」
そう言って得意げに笑った後、執事はそそくさと部屋を出た。
……一人部屋に残された王子はというと、珍しく口を開けたままポカンとしていた。
「……それは部屋に入ってきて
最初に言う言葉だろうが…馬鹿が」
誰もいない部屋の中、王子は呆れながら独り言でぽつりと呟いた。