砂漠の月歌 〜dream story〜
「わ、悪かったよっ…だって宮殿の正門と
此処のラウンジって真逆方向なんだぜっ?
これでも走って来たんだよっ」
必死に許しをこぐと何とか姐御の怒りは収まった。
「全く…。まぁいい…これを見てみな」
そう言って手に持っていたものを執事に手渡す。
「何だよ?これ」
手渡されたのは一枚の小さな茶封筒だった。
「中を開けてみな。写真が入ってる。
国王を殺したのは…恐らくそいつだ」
「何っ…!?」
国王を暗殺した奴の写真が今、自分の手にあると考えると、次第に緊張が高まってくる。
執事は恐る恐る茶封筒を開け、中の写真を取り出して見る。
「…!?あ…っこいつ…」
「おい、どうした?」
写真を見て執事はつい驚いてしまった。
「どうしたもこうしたもねーよっ!!
この写真の男、俺見た事あるぜ…」
「何っ…!?」
驚いた事に、執事は一度だけ面識があったと言うのだ。
「こいつ、舞踏会にいたんだよっ…」
そう、執事は大広間で肩がぶつかったあの時の事を思い出した。