砂漠の月歌 〜dream story〜
王子は窓辺からもう一度街を眺め、少し間を置いてから、自信に満ちた口調で執事達に言う。
「あぁ…どうしても、
守りたいものが見つかった…。」
「王子…」
また涙ぐんでしまう執事達に、王子は苦笑しながも、頭を切り換える。
「今は、やるべき事があるだろう…?
泣くのはその後だ…。
……姐御、兵士達を
全員宮殿の前に整列させてくれないか」
思いもしなかった命令に、姐御ですら息を呑む。
「兵士達をっ…!?
王子、一体どうする気だ…?」
何を考えているか、全く想像がつかない姐御に、王子は得意げに笑う。
「……話は後だ。
取り敢えず言う通りにしてくれ」
恐らく王子には、何か考えがあるのだろう。
……一先ず宮殿にいるだけの兵士達を有りったけかき集めて正門に並ばせる。
「王子、
兵士の数はこれくらいでいいのかい?」
「あぁ…充分だ」
そして一旦全員宮殿の前に出た。
「王子、
今から何をおっぱじめるんだよ…?」
自分達まで外に出て何の意味があるのかを知りたかった。