砂漠の月歌 〜dream story〜
「話が違ぇーよ!!それじゃ
まるで王子が囮役みてーじゃねーかっ…
王子が此処に残ってどうすんだっ」
「そうですわっ…!!
王子にもしもの事があったら私達っ…」
此処に残るという事は、すなわち死にに残るというものだ。
「王子が宮殿に残らないでどうする…。
いいんだ、囮役で。その間、
危険だからお前達は街に身を潜めておけ」
しかし執事達は断固として反対した。
「認めねーっ…!!絶対認めーぞ俺は!!
王子も宮殿を出るんだっ」
「王子、お願いですから
一緒に街で待機しましょうっ…?」
これから攻め込ませる宮殿に、ましてや王子を一人宮殿に残すなど、誰も考えはしなかった。
「命令だ」
王子は冷たく言い放つ。
王子の命令であるからには、誰も逆らえない。
「……なんてな」
しかしその後、少ししてから申し訳なさそうな顔をする。
「これは、俺の独りよがりだ…」
王子は、困ったように笑って言う。
「さっき…
守りたいものを見つけたと言っただろう…?
それは、この宮殿でもあるんだ…。」
「王子…」