砂漠の月歌 〜dream story〜
それでもメイド達はまだ納得はしていなかったが、今は姐御が一番王子を理解していた。
「……すまないな、姐御…。」
「残るからには、
多少の怪我は覚悟しておきな。
その代わり、
絶対に無茶はするんじゃないよ…?」
天才的に強いだろうから心配は要らなそうだね、と付け足され王子は苦笑する。
「俺がいない場の指揮は…、お前に任せる」
「あぁ…。
私等も、奴等が宮殿に入り込んだら
すぐに攻め落としに向かうよ。
……お前もいいな?」
そう言って、黙り込んでいる執事に呼び掛ける。
「……あぁ…」
意外にも執事はすんなりと受け入れてくれた。
「だけど…、俺は残るぜ」
しかし執事はそれでも自分も残ると宣言する。
「お、おい…」
「王子が何と言おうと、俺も此処に残る」
王子も止めようとするが、執事は断固としてそれを譲らない。
「何があっても、執事は
王子の隣に立つ事…それが俺の使命だ。
それにこれは国王に命じられた事なんだぜ?
幾ら王子でも、
国王直々の命令には逆らえないだろ…?」
執事にしては、最もな理屈だった。