砂漠の月歌 〜dream story〜
言うと同時に、王子は再び飛び上がった。
……背後から掴み掛かってきた敵の胸倉を掴む。
「おらァっ…!!」
王子は手に力を込めると、軍の中心に勢いよく投げ落とした。
ドガガガガガガガガガガッ!!!!
「ぐわぁぁっ!?」
運悪く周りにいた敵が殆ど外壁まで吹き飛ばされた。
「こ、恐ぇー…」
一応巻き添えを喰らわないように離れた所で見ていた執事。
(あれまともに喰らったら
生きて帰れねーんじゃねーか…?)
王子の人間離れた怪力に思わず顔が引き攣る。
……そして漸く、姐御は兵士達を連れて乗り込んできた。
「王子!!大丈夫かいっ…!?」
「あぁ。無傷だ」
平然と気絶した敵の上に乗っかっている王子に比べ、執事は地面にねっころがりながらぜいぜいと息が切れている。
「おっ…俺も…無事だぜ…」
「そんな所に
転がってると踏ん付けちまうよ」
執事の扱いは、それなりに酷かった。