未完成人一家
香代子は異常に甘えん坊だった。
いつも母にベッタリとこびりつき、留守番もできない。
15分、家を空けるだけで近所中に響き渡る声で泣き叫ぶのだ。
何もかもが、真奈美と違い過ぎる。
幼稚園バスの時間が迫っていても、なかなか朝食を食べ終えてくれない。
そこら中に食べこぼして、部屋を汚す。
万里子は香代子を思いっ切りひっぱたいた。
『さっさと食えよ!こらぁっ』
泣きわめく香代子を、掃除機で殴りまくった。
ビービー泣くものだから、余計に食べなくなる。
香代子の髪を掴み、食べていた器に顔を押し付ける。
『ガフっ ウガフぅぅっ 』
もう嫌だ。
どうしても香代子を可愛いと思えない。
いなくなってしまえばいいのに・・・・・