未完成人一家
一方の弘樹。
弘樹の父親は酷く女癖が悪かった。
浮気をしては離婚を繰り返し、弘樹の母親は何度も変わった。
彼は家を飛び出し、働きながら大学の学費を払い、自立心旺盛に生きてきた。
体も大きく気が強い弘樹は誰かに喧嘩を売られるようなことも、意見されることもなかった。
(されたとしても受け付けないのだが。)
教師になったのも、教えられることより教える側の方が性に合っているからだ。
万里子を伴侶に選んだのは、単に顔や身体が好きなタイプだったのと、絶対に口答えしないところが気に入ったからだ。
身の回りの世話をしてくれて、賢く可愛い子供を産んでくれさえすれば、細かい事などどうでもよかったのだ。
俺様ジャイアンみたいな男だと皆は言った。