未完成人一家
ある日、香代子から万里子に電話があった。
『お母さん・・・ あの、おしっこする時に、痛みが・・
お腹がすごく痛くて・・・
我慢してたら、血が出てきて・・・・ どうしよう・・』
悲痛な声だった。
まだ弘樹の扶養になっている16歳の香代子は保険証がないのだ。
『香代子、すぐに帰ってらっしゃい。 病院に行きましょう。』
どんなに突っ張っていたって香代子はまだ子供なのだ。
どれだけ心細かったことか・・・
万里子は胸が痛くなった。