未完成人一家
ある日、香代子から小包が届く。
梱包を解くと、中には数冊の本が入っていた。
「節食障害について」 「心の病・自傷行為の裏にあるもの」
「境界性人格障害の治療法 」
(なんなの、これ・・・ )
万里子は一通り目を通したが、そのうちに眠くなった。
なんだかんだと、家庭環境や母親の在り方を遠回しに責められているようで、しっくりとこなかった。
確かに真奈美は潔癖症かもしれないが、他には問題などない。
個性といえばそれまでだ。
愛情はふんだんに与えてきたし、人格障害などと大袈裟なものには当て嵌まる要素はない。
香代子は一体何を考えているのだろうか。
全てを親の責任として、なすりつけるようでは駄目なのだと、教えてやらないとな・・・。
万里子は眠りについた。
数日後、風呂場で手首を切った真奈美が倒れていた。