未完成人一家

真奈美は涙を流しながら笑っていた。

『お父さんには言わない? そんなこと、あたしがいつ頼んだのよ? 』

万里子も声を荒げる。

『だって、お父さんに話したりしたらどうなると思ってんのよ!?
香代子みたいに・・・ あんな風に殴られてもいいの?!』

真奈美は聞いていない。

『 お父さんには言えないほど、あたしは駄目ってこと?

香代子はありのままで殴られて、それでよくて、

あたしがありのままでいるのはお父さんには見せれないって?

あたしが殴られるのは可哀相で?
香代子は痛くなかったとでも思ってんのかぁ!?

馬鹿野郎!! めちゃくちゃ言ってんじゃないよっ ・・・』

真奈美は二階に駆け上がっていった。


放心状態の万里子はその場にうなだれた。


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