未完成人一家
香代子は二階に上がると仕方なく母の部屋に入った。
「お母さん、大丈夫?」
万里子はまだ興奮して泣いている。
「あの男、年越蕎麦がどうのこうのって、うるさくて・・・
あたしもブチ切れてやったのよ!
これは香代子の敵討ちだからね!!」
香代子は無理に笑顔を作ると決められたように姉の部屋へ向かった。
「お姉ちゃん、ガラスくらい片付けてあげたら? お父さんにもお世話になってるんだし。」
真奈美は香代子を睨む。
「あんたって、なんなの?
嫌われたくないからって皆にいい顔するのやめたら?
本当は憎んでるくせに・・・ 」