未完成人一家
夫婦の趣味
弘樹は多趣味な男だった。
体育会系に見えて実は手先がとても器用で、油絵を書いたり彫刻、人形作りなど
何をやらせても素人とは思えないほどの立派な作品を次々と作り上げた。
中でも熱心だった人形作りだが、幼い女の子の人形ばかり好んで作った。
それもリアルな白い裸体にガラスの目玉が嵌め込まれた空虚なその表情は、胸の悪くなることを連想させた。
人形の下着を縫ったり、髪をアイロンで巻いたりする弘樹を万里子は不気味に思えて仕方がなかった。