【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙⑤〜
さて、このように一の君のおっしゃる含みを、この賢しき女房が、気づかぬはずもございませんで、

「久方に、積もるお話もございましょうから」

と、ゆるりと次の間にお下がりするのを、かの西の方も衣擦れにお聞きおよびになって、机帳のかげから、扇をお打ちになって、若君方を差し招かれます。
< 12 / 30 >

この作品をシェア

pagetop