【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙⑤〜
「君。お前は、兄の、母を分けた姫を愛そうというのだもの。そのように気弱なことではね」
と、兄君は、このようにお囁きになって、弟君をおはなしになりますと、
「乳母殿。私は、いま少し、我が母と慕う方との昔語りに花を咲かせたく存じますが、我が弟には、それも退屈でございましょうから」
と、弟君をおひとりで、次の間に下がらせられるのでした。
と、兄君は、このようにお囁きになって、弟君をおはなしになりますと、
「乳母殿。私は、いま少し、我が母と慕う方との昔語りに花を咲かせたく存じますが、我が弟には、それも退屈でございましょうから」
と、弟君をおひとりで、次の間に下がらせられるのでした。