【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙⑤〜
密かに心をお寄せになる姫君の縁談が話題の中心に上って参りますのを、二の君は、決まりの悪いお心もちでお聞きになるのでしたが、それを隠しようもなくて、お顔を赤くなさいますのを、

「さて、二の君におかせられては、この紅葉の気に当てられなさいましたかな」

このようにおっしゃって、くす、と、お笑いになるのは、案内役をお務めになります若者でございます。

このお若い方は、すでに冠姿をなさる様から、その御年頃は、一の君よりも二つ三つばかり上とみられるのでした。
< 4 / 30 >

この作品をシェア

pagetop