【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙⑤〜
「お方様、二条の若君方にございます」

また深々と御簾の向こうのお方に頭を垂れて、このように申します女房を、この方は、

「親と子の間のことですから」

と、控えめに下がらせまして、

「この六条あたりまで、わざわざお越し頂きましたこと、勿体なく存じます」

と、並び座します若君方に、お声をおかけになるのでした。
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