†Devil Kiss†
*    *    *



その頃城では、セドリックの言うとおり、ユハはローズの名前を呟きながら、必死にローズの姿を探して走っていた。



「ローズ、ローズ。どこなんだ?ローズ・・・」




今、ユハの心は眠ってしまっている。



心がない以上、ユハは本能のままに生きていることになる。



ただ、本能のままに・・・・・・



「ローズ・・・俺を置いて、一人にして・・・どこに行ったんだ?!」



ユハはもうローズのことしか頭にない。



悪魔を捨てることを簡単に決められた程、愛しているのだから、当然といえば当然なのだが。



それでも、異常なまでにローズを求めるユハは、まるで親を失った子供のようだった。



「ローズ、俺を一人にするな・・・ローズ・・・ずっと・・・俺の傍に・・・」



ドサッ




城中を走り回り、ユハは倒れこんだ。



疲れることも気にせず、本能のままにローズを求め、走っていた体は、限界だった。











(俺は、どうしたんだろう?

この暗闇は?

太陽はどこへ行った?

ローズはどこに・・・

俺はまた、魔界に戻ってきちまったのか?

いや、あり得ない。

・・・あっちゃいけない。

俺にはローズがいる。

何があっても離れられない。

でも、今お前は




どこにいるんだ?)



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