†Devil Kiss†
*    *    *




「・・・・・・・ん・・・」



ユハが、声とともに体をゆっくり起こした。




ローズ・・・・・?




辺りを見回すと、ローズが倒れているのが目に入った。





「ローズ!!!」



かけより、ローズを抱き上げようと、目の前に手を出す。



だが、ユハは固まってしまった。



「あ・・・あ・・・爪が・・・色が」



爪は、鋭く長く。


色は青白く。


耳を触れば尖っている。


歯も犬歯が少しばかり目立っていた。




「悪魔に・・・・戻ったのか・・・?」




そんな・・・・・・



ユハは脱力した。



そして、ローズを見た。



引っ込めた手をもう一度だし、ゆっくりと抱き上げ、抱きしめた。




「ローズ・・・・・・・・・・・・愛してる」



ユハは消え入りそうな小さな声で呟いた。



でも、君はこんな僕を見てどう思うのだろう?




ようやく掴んだ幸せが次々に、壊れていくようだ。



ユハは無言で、ローズを抱きしめた。




目が覚めて、君に拒絶されたら、俺は・・・




ユハを、今までにない恐怖感が襲った。



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