†Devil Kiss†
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「それから、すぐ僕は人間界に行き、ローランを魔術で誘き寄せ、殺した」



セドリックの知られざる過去を知り、ユハは苦しそうな表情をするしかなかった。




愛するローズの父親を殺した相手



だが、自分がセドリックの立場で、ローズがグレースだったら?



俺はセドリックと同じことはしないと、言い切れるか?



アリスも涙を流している。



クロードはそんなアリスを抱きしめている。



「僕は愛を知っている。僕も愛した女がいたから。でも同時に愛が、残酷だということも知った」



セドリックはユハに訴えるような目をした。



「確かに残酷かもしれない。だが、俺たちは互いに愛しあってる。セドリック、お前たちとは訳が違うだろう?」


「もう手遅れだ・・・」


「手遅れ?」



アリスが眉を潜めた。



「彼女は、ローランの娘だ。ベルモンドの父親に化けて会いに行った時、目を疑ったよ」



「本当にそっくりだった」セドリックは苦しい表情で、言った。



「頼む。ローズだけは、殺さないでくれ!俺の命よりも・・・大切な奴なんだ」



ユハが懇願するが、もう聞かなかった。




「悪いな。ユハ、俺ももうじき死ぬ。後悔したくない。彼女も父親のところに連れていくよ」




そう言うと、セドリックは翼を広げ、ローズの下へ飛び立った。




「セドリック!!!」






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