†Devil Kiss†
「ローズ・・・」



ユハは、離れようとローズの肩に手を置いた。



「お願い・・・もう少し」



ローズはそう何度も呟く。



ユハだって同じ気持ちだ。




離したくない。



このまま、一緒にいられたらどんなに幸せだろう。



このまま、永遠に時間が止まったら、どんなにいいだろう。



俺は、ローズがいなきゃ幸せを感じられない。



魔界では味わえない、永遠の快感。



ローズを抱きしめるだけで、キスするだけで満たされる。



魔界で何人者女と体を重ねたが、ローズには叶わないだろうと思う。



あぁ、それより


もう会えないのか・・・・



もう話すことも、


笑顔を見ることも、


手を繋ぐことも


何もかもが、出来なくなるんだ。





今考えると、この1週間が幻だったんじゃないかとまで思う。




あっという間に過ぎ去った日々。



でも、その中で確実に愛は育まれた。



村で、変り者と呼ばれた少女は、心から愛する者が出来、自身を取り戻した。



愛を知らなかった青年は、愛を知り、優しさを知り、人を思いやる心を手に入れた。



全て、紛れもない事実。



だが、それも全て終わり。




まるで、シンデレラのように、夢のような時間はいつかは魔法が解けてしまうことを教えられたようだ。




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