†Devil Kiss†
どうしても、ローズの腕を引き剥がすことが出来ない。



仕方ない。



抱きついて離れないローズの頭に手を置き、魔術をかけた。



「おやすみ。ローズ・・・」


「や、ユハ・・・・」



一瞬抵抗したものの、ローズはユハの腕の中で、眠ってしまった。



一筋、頬に涙がつたった。



「俺は、どうして君を泣かせることしか、出来ないんだろうな・・・・」



そういうユハも泣かずにはいられなかった。



手で目を押さえるが、溢れて止まらない。



こんなにも、こんなにも


愛しているのに・・・



君がいない世界なんて


興味がない。



青い空もなければ


太陽もない。


緑色の草や、鮮やかな色とりどりの花もない。


そして、その中で笑う君もいない。



そんな世界に帰って、何を楽しめと言うんだ?



「ローズ・・・離れたくない!離したくないんだ!俺は、ずっと君との未来しか考えてなかったんだから・・・なのに・・・なのに、こんな残酷な未来なんてありえるかよ!!!?」




苦しくて苦しくて仕方がない。



君を失うのならば、このまま心臓が破裂してしまえばいいのに・・・



ユハは眠って目を開けないローズを、必死で抱きしめた。



ローズと恋がしたくて、ただ・・傍にいたくて人間界に来ただけなのに・・・



なぜこんな仕打ちを受けなければいけないんだと、ユハは嘆いた。



だが、自分がどんどん消えかかっているのが、わかった。


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