†Devil Kiss†

条件

「・・・・・・一体どうしたらいいんだ・・・」




窓から風が吹いてくる。



今日は天気が悪いらしく、さっきローズが寒いと言っていた。



それなのに、何でわざわざ服なんか干しに行くんだ?



そんなの、あの弟にやらせればいいのに。




ユハは窓の外にいるローズを見て思った。




「この世界は、本当に不思議なことばかりだ」



ユハは再びベッドに横になった。



この世界には家族というものがあることがわかった。



家族は母親、父親、子供から成り立つらしい。



だが、ローズの父親は戦争で死んだそうだ。



そう言ったローズは、何だか悲しそうだった。



家族を失うと人は悲しむらしい。



家族は掛け替えの無い存在だとローズは言っていた。



それは、俺にも分かるような気がした。


俺にとっての掛け替えの無い存在はローズ。



ローズがいなくなったらと考えれば、胸を引きちぎられるような痛みが襲う。



苦しくて、辛い。



でも、なぜ?





どうしても、ユハは分からなかった。自分がどれほどローズを愛しているかを。



愛する人がいなくなったら胸が引きちぎられるような思いがするというのは、普通の人間にもあることだが

そんなことを考えたことも、ましてや経験もしたこともないユハにとってみれば、通常の人間の倍は、辛い気持ちが胸を貫くだろう。



今まで、人を殺すことしかしていなかったユハにとってみれば、まさに人生の革命の時期なのだろう。



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