†Devil Kiss†
────────・・・・・・


あの後再び眠ったユハは、外が暗くなる頃、空腹で目を覚まし、ローズの寝室から出てきた。



「もう、歩いても平気ですか?」


「え・・・あぁ。」



出てくるとテーブルに皿を並べているローズがいた。



「もう少し、待ってて下さいね。すぐに夕食になりますから」


「なんも、いいもんはないだけどね」



夕食・・・・・・・・・・?




ユハは聞き馴れない言葉に首を傾げた。




悪魔は空腹毎に食べるため、朝・昼・晩と一日三食のように分ける食べ方はしないのだ。



その上、食物もあっちの世界とこっちの世界では大分違う。




俺が食べられる食物なんだろうか?




ユハは不安になりながら、テーブルのイスに腰掛け、さっきアリスから聞かされた説明を思い出していた。


《期限は一週間。その間にローズに愛されないと、魔界へ連れ戻され、もう二度とローズに会うことも、見ることも出来なくなる。》


ローズに会うことが出来ない。


そんなのは絶対に嫌だ。



だが、ユハはローズを振り向かす方法が思いつかない。



実はアリスはあえてユハに言わなかったこともある。


本当の条件は、一週間の最後の日の12時の鐘がなるまでにユハがローズを愛し、そのお返しにローズに愛されないといけないのだ。


つまり、キスを受けなければならない。



愛されるだけでは無意味。自分も愛していると自覚し、互いに必要としなければ意味がないのだ。



アリスはユハが自分の気持ちに気付けば、ローズを振り向かすことも可能だと考えたのだ。



だが、当の本人は自分の気持ちに混乱している状態だ。



一週間で間に合うのか、アリスは心配で堪らないという感じで、クロードと共に帰っていった。






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