†Devil Kiss†
「そうですねぇ・・・何だか、優しい気持ちになれたような気がします」


「優しい気持ち?」


「はい。その人のことを想うと、胸が大きな鐘のようになるんですけど、それが何故か心地いいんですよね」



心地のいい胸の鼓動────



「それから、常に相手の笑顔が見たくて、相手が悲しんでたらこっちまで悲しくなるんです」



泣いてほしくない─────



「そして、好きな相手が幸せだと思った瞬間が、自分にとっても大きな幸せなんです」



その後にローズは、「それが例え、自分が与えたものじゃなかったとしても」と加えた。




ユハは確信した。



自分が大分前、Moonlakeからローズを毎日見始めた時から




彼女を愛していたのだと・・・



でも、俺には心なんてないはずじゃ・・・



そう思ったが、もう疑わなかった。自分がローズを愛してきたことを。



そして今、以前よりもローズを想う時の感情が豊かなのは、あの薬のせいなのだ。



実は、あの薬は唯一悪魔に欠けていて、人間が持つ"心"を目覚めさせるための薬なのだ。



じゃぁ、体が重くなったのもそのせい?




バラバラだったピースが合わさっていく。





隣で物思いにふけっているローズを見ると、昔のことを思い出しているのか、穏やかだが、少し寂しげな表情をしていた。



でもそんな顔でも今の自分なら素直に"綺麗"だと思えた。



前の俺だったら、綺麗のきの字も出なかっただろう。



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