†Devil Kiss†
Human world〜2nd

散歩

朝、物音と明るい光で目を覚ました。



音のするほうへ目を向けると



「あ、おはようございます。ユハさん」



食事を作りながらニッコリ笑うローズがいた。



「お、おはよう」



ユハは照れながら小さな声で答えた。



昨夜、あの後もしばらく会話をしたユハは、少しは互いの距離が近づいたような気がした。



「今日は天気が良いですね。」


「・・・・・・・天気?」



窓の外は真っ青な空の天井に、風に揺れる緑のカーペット。

そして、そこには色とりどりの花々が、カーペットの模様の様に咲いていた。




こんなに綺麗な景色は、あの世界にはない。


何なんだろう?


この、心が洗われるような気持ちは・・・?




始めて見る美しい世界に、ユハはただただ口を開けて呆然していた。




向こうは、いつも代わり映えのない灰色の空模様。


その上、皆いつも、今自分の目の前に起こっていることしか見ていない。


だからこのように空を見上げることなど滅多にしない。



久しぶりに見上げた空は、ローズと同じ美しいブルーに、ユハの瞳を染め上げた。



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