†Devil Kiss†

嫉妬

「おや、ミス・ボードゥワン?」


後ろから聞こえると、ローズは一瞬顔を歪めたがすぐに笑顔で振り返り



「あら、ミスター・ベルモンド。偶然ですね。」



ユハよりも一歩前へ出る。

あまりユハに近づかせたくなかったのだ。



「偶然?出来れば運命と言ってほしかったな。僕はあなたがいるかもしれないと思ったから来たんです。偶然ではこんなことは有り得ませんよ。」



また・・・


本気で思ってもいないような歯の浮くようなセリフ。


上辺だけの言葉だと気付きたくなくても気付いてしまう。


別にあたしも気があるわけではないけど、村で毎日されると他の村の人達の視線が気になって、肩に力を入れっぱなしにしてしまう。



ローズが呆れながらベルモンドの相手をしているのを一歩後ろから複雑な顔をしながらユハは見ていた。



「ところで、彼は?」


「え?あ・・・彼は」


「ローズもう家に帰ろう。」


「え、どうして?せっかくお弁当も作って来たのに・・・」



ローズがユハに振り替えると、ベルモンドはあからさまに嫌な顔をユハに向けた。


突然話に入ってきた得体の知れない男が気に入らないようだ。


その上、自分とは違い二人は名前で呼び合っている。



気に入らない・・・



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