†Devil Kiss†
ようやく、距離が縮まって来たと思っていた矢先。



だが、今はそんなことは言っていられない。ローズの身の安全が第一だ。


もしも、目を離している隙にアイツの手がローズに及んだら・・・



そう考えただけでもユハは血の気が引くような感覚に陥った。



「おい、ユハ」


考え込むユハを見て、クロードは声をかけた。



「お前はこれから、ローズと幸せになるんだ。こんなことでビビってどうすんだよ?」


「そうだよ。あたし達が知ってるユハは無敵で強気なはずだよ!セドリックのことはあたし達も力を貸すから、ね!」



今日程二人に感謝の気持ちを抱いたことがあっただろうか?


いや、今まで感謝という気持ちもなかっただろう。


いつも俺が守ってやる立場だったから・・・



普段とは逆に守られる立場になり、ユハは改めて彼らの存在に感謝した。



「頼む」



きっとローズに出会わなかったら誰かに感謝をする気持ちなんて知らなかっただろう。



誰かに感謝をする時ほど、自分は人に支えられて生きていると思う時はない。



一人ではない。誰かに支えられ生きているのだと・・・・




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