†Devil Kiss†
ピカッ!!!



「ぅわっ!!」



暗い部屋が稲妻で一瞬明るくなる。



ユハは驚いてローズにしがみ付いた。



ローズも突然の光に驚き、体がビクッと反応した。



ユハは気付いていなかったが・・・。



ユハはローズの温もりに安心感を抱いている自分に気付いた。



人間になって今までにない気持ちがまた増えた。




「親なんていなかったから、こんな風に誰かに頼ったこともなかったんだ。・・・いつも淋しかった」



魔界にいた時は平気だったのに、こっちへ来てからは、どうしてこんなにあの時のことを思い出すと辛いんだろう・・・?



アリスとクロードはいたけど、完全には消えない淋しさ。



毎日生きていくのも、大変だった。



まだ幼い頃は、魔力も完璧に使いこなせるわけではないから、力では圧倒的に大人には負けてしまう。



食べていくのもやっとで、本当に辛かった。



「ユハ・・・・・・・」


「ん?」



ローズは静かにユハに言った。



「ここにいたら、辛いことや悲しいこと・・・忘れられる?」





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