†Devil Kiss†
「ローズ・・・・・・」



ローズの髪に埋めていた顔をローズに向けると、ローズは涙を流していた。




「あたしもお父さんがいないから、家族がいない淋しさはよくわかるの」




この涙は、俺のためなのか?



「前は、お父さんがどうしていないのかわからなくて、お母さんにいつも聞いてた。“どうして、あたしにはお父さんがいないの?”ってね」



そんなことを聞いて、一番傷つくのはお母さんだなんて気付かずに・・・



「そうか・・・。でも、母親がいるだけでも十分うらやましいよ」



そういうユハは切なそうに笑った。




人間がどうして、弱いのかわかった気がした。



魔力がないとかそう言うことをなしにして考えても、やはり人間は弱いんだ。



人間は孤独に弱いから・・・


誰かに寄り添わないと、心がどんどん弱くなるんだ。



どんなに強い心を持っていても、誰かといる時の心には叶わないんだ。




「あたしは何か、力になれないの、かなぁ?」



ローズ・・・・・・俺は、俺はな



「俺は、君がそばにいるだけで、辛かった時のことを忘れられた。笑っていられたよ」



ローズをMoonlakeから見るようになってから、徐々に笑うようになっていった気がする。



ローズのすることなすことに一つ一つ見入っていって、気付いたら自分は笑っていたんだ。




でも、そんなこと君は一生知ることはないだろう・・・・・・



なぁ、ローズ


俺の笑顔を作り出すのは、いつも君なんだよ。




< 69 / 149 >

この作品をシェア

pagetop