†Devil Kiss†
Human world〜4th

濡れ衣

次の日の朝は、前日の雨が嘘だったかのような青空だった。



寝ているユハをベッドに残し、まだ早いうちにローズは一人起きた。





「・・・・・・お母さん」



リビングでは、まだ寝ているはずのマリーがソファーに座っていた。




「ちょっと、こっちに座んなさい」



ローズは少し強張った表情になりながらマリーの隣に腰を下ろした。



少しの沈黙の後、ローズは話しだした。




「ごめんなさい」


「どうして謝るのさ」


「・・・結婚前なのに、男の人の部屋へ行って、はしたなかったわ」


「でも、別に何もしてないだろ?」


「え?」


「何もしてないだろ?」



ローズが慌てて頷くと、マリーは表情を和らげた。



「だったら、あたしは別に怒ったりはしないよ」


「お母さん・・・」


「愛してしまったんだろ?彼のこと。どうしようもない程に」




それを聞いて、ローズはほっとしたのか、少し照れながら大きく頷いた。




「良かったね、ローズ。心から愛せる人を見つけたんだね」


「うん!」


「うちは、別に名家でも何でもないから、何も気にせず、心から愛せる人と一緒になりなさい」



こんなことを言っているが、マリーも本心は心配なのだ。


何せ、相手はどこの国の出身者かも何の仕事をしているかもわからない。もしかしたら、自分のように苦労をするかもしれないのだから・・・。



ローズはそんな母の心がよくわかった。



「ありがとう。お母さん。あたし、今とっても幸せだよ。だから、心配しないでね」



それを聞いて、安心したのかマリーは微笑んだ。



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