†Devil Kiss†
「何て言ってるの?」


「母親の方が、フィデールと最後に会ったのはローズだと聞き付けて、ローズを出せと言ってきてる。確実に君を疑ってる」


「そ、そんな・・・」



ローズはユハの聴覚のすごさも頭にないくらいに動揺した。



いてもたってもいられなくなり、ユハの腕から抜け出し、駆け出した。



「ローズ!!」



その声に反応したベルモンド夫婦がこちらを見た。











「あたしに何か、御用ですか?」



近くまで行くと、ベルモンド夫人がその大きな身体ごとローズに向き直った。




「ローズ。あなた、うちの息子と昨日会ったんですってね」


「はい」


「どうもね、あの子と最後に会ったのがあなたみたいなんだけど・・・」


「はぁ・・・・・・・」



夫人は苛立ったように片方だけ眉毛を釣り上げた。



「彼は?」



夫人はユハを指差した。



「彼は・・・」


「ローズの恋人よ」



ローズが戸惑うと、マリーがキッパリと言った。




それを聞いた、夫人は不気味に片方の口角を上げ笑った。



「そう。じゃぁ、フィデールが邪魔になったのかしら?」


「え・・・・・?」


「だって、あなたうちの息子と婚約するところだったのでしょう?」



< 76 / 149 >

この作品をシェア

pagetop