†Devil Kiss†
「あたしとローランは身分差なんてなくて、同じ貴族同士だった。そして同じくパリに住んでいた。」



ローズも一度は行ってみたいといつも思っている場所だ。



「あたしは前からローランが好きでね。だけど彼はあたしの存在すら知らないし、叶わないから、切なくて。でもある日運命的なことが起こって、あたし達は出会った。そしてローランはあたしに一目惚れをしたらしい」


「お父さんが・・・」



マリーは静かに頷いた。



「だけど、互いの両親が認めてくれないことは、もうわかっていたからね。あたし達は秘密で付き合いだしたんだよ」



秘密で・・・・


何だか禁断の恋みたい。と、年ごろの乙女心をくすぐる響きだった。



だが、ふとマリーが悲しそうな顔になった。



「でもね、やっぱりバレちゃってね・・・。あの時は慌てたよ。もう少しで引き離されるところだった」


「そう・・・・・それで?」


「あたし達は両親に内緒で家を抜け出し、駆け落ちしたんだよ」




ここで、ようやく疑問が解決した。


貧しさは出身など関係なかった。


父と母の愛の果てだったのだ。




「で、それから、お母さんとお父さんの両親は?」



ローズの祖父と祖母に当たる人だ。



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