†Devil Kiss†
「駆け落ちしてから3日後あたりに、亡くなったんだよ」


「え?・・死んだ・・・って」



次から次へと出てくる事実に驚くしかない。



「それも、なぜ死んだのかもわからないし、その死に方もおかしかったのよ」



死に方がおかしいって?



「体に傷もなくて、苦しんだ様子もなくて、殺されたのか自殺したのかもわからなかった。それで、一時期パリでは大変な話題になったみたい」



何の前触れもなく、突然の出来事・・・今回のフィデールの失踪と同じだ。



だけど、まさかね。



あの人の場合は、失踪なのかどうかも怪しいし・・・



ローズは首を振った。



「そういう、色々と複雑なことがあってさ・・・あの一家とはちょっとね。・・・まぁあたしは後悔なんて一度もないけどね」



最後を力強く言ったマリーにローズは驚きと尊敬の眼差しを向けた。



そして改めて知った。



母のこの強さは、若い時から辛い経験をしてきたからなんだ。



そして、同時に父と得た愛の賜物なんだ。と・・・




「だから、アンタも本気で好きになれる人とって、いつも言ってきたんだよ。まぁ、今はそれも叶ったも同然か」



窓から見ると、二人は残りの洗濯物を干してくれていた。



「あ・・・あたしやるのにぃ」



エリックもニコニコしながらユハの手伝いをしていた。


あたしも、まだユハのことは知らないことばかりだけど、愛していることに変わりはない。



でも、これからどうしていけばいいんだろう・・・?



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