†Devil Kiss†
「今になって、親の気持ちが少しわかった気がするよ」



マリーは呆れた顔でため息を吐いた。



「お母さんが裕福な暮らしよりも愛を選んだわけは、お父さんを愛してたからでしょ?」


「当たり前じゃないか」


「それじゃぁ、あたしがあの人と結ばれるなんてありえないわ」


「何でだい?」


「あんな、親のスネをかじっていつまでも威張って歩いてる人なんか、愛せないわ」



フンッとローズは鼻を鳴らした。



村の人が、一生懸命毎日毎日休みなく働いている傍で、彼はいつも違う女性を連れ、堂々と遊びほうけている。



そんな姿を見て、カッコ良いだなんて言っている彼女達の心がわからない。



「アハハハハ!それは確かに愛したくても愛せないかもね」



マリーは大声で笑った。



「ま、あんたはまだ若いんだから出会いはいくらでもあるさ。あんたが一番幸せになれる相手を見つけてくれたら、あたしは満足だよ」




ニッコリ微笑み、マリーは言った。



「おねぇちゃん!ご本読んでってば!!」



待ちきれなくなったのか、奥の部屋からエリックが叫んでいる。



はーいと返事をしてローズは急いで部屋に行った。











「あなた、ローズがいい相手を見つけられるように、見守っていてね」



マリーは亡くなった愛する夫の写真に静かに語り掛けた・・・・・・




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