†Devil Kiss†
「おぉ!ローズ、おはよう」



村へ入ると、色んな人間から声をかけられる。



「あ、おはようございます。おじさん」


「よぉ、ローズちゃん。今日も綺麗だね」


「おはようございます。そんなことを言っても、何も出ませんよ」




何だ。何も言われてないじゃないか・・・。



村の人との会話を聞くかぎりでは、特に何もない。



ユハが頭にクエスチョンマークをつけていると、ふと、耳に会話が入ってきた。




「ローズの隣にいるあの男は誰だ?」


「さぁ?でも、素敵ねぇ。まるでどこかの王子様のような容姿じゃないかい?」


「だが、何だ?あの服は。随分みすぼらしいなぁ・・・」


今まで気にしたことはなかったが、あまり良くないらしい。



まぁ、新しいのを買うんだから、いいか。



ユハはあまり、気にしなかった。



だが、次の会話には驚いた。



「いやぁ、それにしても残念だ。あの子、俺狙ってたんだけどなぁ」


「全く・・・息子の嫁にしたいと思ってたのに」


「あんな美男美女の組み合わせは、ローズの両親以来じゃないかい?」



何だ?こんなにもローズは人気だったのか?



男と話しているのは、いつもベルモンドだけだったが、もしかしたらそのせいで、他の男は何も出来なかったのかもしれないな。



とユハは思った。



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