†Devil Kiss†

幸せな一時

そんなユハには気付かず、ローズは買い物を楽しんでいた。



朝は、いつものようにまた何か言われるんじゃないかと思い、あまりいい気分ではなかったが



ユハの言葉を聞いて、気分が晴れた気持ちだった。




ユハが傍にいるだけで、何だか落ち着ける。



ローズは隣を歩いてるユハを見て一人、微笑んだ。








「ユハ、これは?」


「うーん・・・何か違う」




服屋に来て、ユハの服を選んでいる。



村には二店服屋があり、今いる店はローズがいつも買いに来ている店だ。




「好みに合うものはあったかね?」



店の奥から、主人が現れた。



メガネをかけ、上品そうな感じの、身なりの整った男性だ。



「いえ、まだ」


「そうか。そちらの方は君の恋人かい?」


「え?あ、はい・・・」



ローズが顔を赤くして、頷くと主人は優しく微笑んだ。



「お相手が見つかって本当に良かったね。彼も、とてもハンサムだしね。ただ・・・」



そこまで言うと、主人はローズの耳元で囁いた。



「随分、肌が白いんだね。それに、ちょこっと耳が尖っているね」



それを耳にし、ユハはムカッときたが、



ローズは笑いながら答えた。



「それもまた、彼の個性ですから!」



そう言ってくれたことにユハは口角を上げた。



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