イケメン霊能少年の憂鬱
あたりは、
あの日のように大粒の雨が降り出していた。


「またあの山に行ってみないか?」


オレは、
まだあの場所に
龍が残っているような気がして、
ナツの手をとった。


「ひとりで行って下さい。
 ァタシは力なんて
 キョーミないですからっ!」


ナツはオレの手を振りほどいてそう言った。


オレは振りほどかれた
自分の手のひら広げて、
ちらっと見る。


――ナツには力のことはわからないか……


「じゃあ、またな……」


――いつかナツも気づいてくれるハズだ……


オレはそれでも、
あの山でナツに感じた、
宿命めいたものを信じていた……


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