ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜
ふと背後を何かが通った気がして、レオが視線を向ける。
後ろには今しがた歩いてきた草の道があるだけ。
正しくは草むらだった場所がレオ達の進行を経て、道になったのだが。
――…気のせいか?
他のメンバーでレオ以外に、それに気付いた者はいないようだ。
皆ただ前だけを見て黙々と歩き続けている。
だけど、いつも敵に囲まれていたレオにとって、周りには常に気を配ってきた。それはこの世界に来てからも変わらない。
経験で培ってきた勘。
…何かがいる気がする。
正直なんとなく予感はしていた。
リオはかかし、アオはブリキのきこり。
ふたりの話を聞く限り、次はレオなのではないか。
順番的に。
それぞれに願いを持ったナニかが、この世界の住人とやらが、レオ達の前に現れる。
関わりを持とうとする。
ソレをうららが認識する度合いは様々だったが、確実に共有できるのはうららだけだという。
この世界は確実に、うららを軸に動いている。
先頭を歩くうららに視線を向けると、今のところ特に変わった様子はない。
もう半日以上歩いていた所為で、疲れは目に見てとれるぐらいだけれど。
なんにせよ、自分から厄介ごとに関わる気は毛頭ない。
自分は自分のやり方を通すだけだ。
レオは細心の注意を払いながら一番後ろを歩き続けた。