ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜


――だけど、自分の望むものが…欲しいものが見つかっているのなら。その胸に、あるのなら。


「でも、願い事があるのって、素敵なことだと思う。何か願う時って、変わりたいって願うときだと思うから…だから諦めてしまったり、ただじっと閉まっておくのはもったいないし、可哀想」

『…かわいそう?』


「願いごとも、あなたの想いも。確かに口にしたらそれはもう取り返せないけれど、それだけできっと何かが変わると…そう、思いたい」


――わたしの…わたしの願い事は、なんだったんだろう。どうして失ってしまったんだろう。わたしの中から、記憶から。


ふらふらと、未だ彷徨う気持ちが見えないのは…自分の気持ちが一番分からないからなんだ。

ふとライオンの向こうからレオのあの鋭い目で見られているのに気付いて、うららは思わず俯いた。

エラソーなことを言っておいて、自分が一番中途半端なように思えた。


昨日と比べてだいぶ歩きやすくなった黄色い道の果てに、長かった森の終わりを告げる光が見えた時。

突如けたたましいほどの獣の唸り声が、辺りに響いた。

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