ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜
――オレの願い…?
そんなもの無い。
願いも、望みも、未来も。
全部捨てた。
全部諦めた。
じゃなきゃ前に進めなかった。
なのに──
〝でも、願い事があるのって、素敵なことだと思う。何か願う時って、変わりたいときだと思うから─〟
だったらオレも。
願ったんだろうか、あの日に。
変わりたいと…前に、進みたいと。
どうしてかわからないけれど、あいつがまた、泣いている気がする。
それだけは──そうだなきっとそれだけは、捨てられないんだ。
諦められないんだ、もう二度と。
暗闇の中、ライオンが言う。
『一緒に行こう』
暗闇を呑み込む金色の光。
まるで太陽のようにまばゆく、月のように優しく、痛いくらいに神々しくて。
信じてみたいと思った。
まだ自分にも取り戻せるものがあるなら。
すくえるものがあるなら。
もう手放さない為、失くさない為。
手を伸ばす。
それを願いの糧にして。