ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜
部屋は眩いばかりの緑色で溢れ、エメラルドの宝石があちこちに散りばめられていた。
まっすぐ進むと中央に大きな緑の大理石でできた玉座があり、その存在を主張している。
そして視界に映るその光景に、思わず息を呑んだ。
その緑の玉座には、大きな頭がどっしりと構えていたのだ。
胴体も腕も足もない、巨大な頭部だけ。
ギョロリと大きな目がうららを捉える。
その迫力に思わず一歩退くと、巨大な頭の主は口を開いた。
『──我こそはオズ。この国至高の魔法使い。お前は何者だ…何を、願う?』
部屋全体に響くような大きな声でオズは言い、うららは圧倒されそうになりながらも足を踏みしめる。
そして一歩、その距離を縮めた。
「願いを叶えてもらう為に、あなたに会いにきました。わたしと…ここまで来た人達を…もとの場所に…現実に、かえしてください…!」