ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜
「だけどこの力は使うには条件が限られていて…今まで危険な時に、お役にて立てなくて…」
「いやそんなことより、そんな、大事な力を…」
言わなくてもわかる。
ソラがそんなにダメージを負ったのは、自分たちが居たからだ。
自分たちを、庇った所為だ。
思わずアオが握った拳にソラはふるふると首を振った。
やはり柔らかく、微笑みながら。
それはいつもうららに向ける柔らかな笑みだった。
「先輩達が居なければ、きっとここまで辿り着けませんでした…そして何より、あなた達をここで失うわけにはいかないんです」
まっすぐ向けられる視線は、痛々しいほど純粋なものだった。
そしてその視線が自分達から離れ、ある一点に注がれる。
無意識にその視線を追ったそこには──
「道…」
それはきっと、かつてうららが追ったであろう道。
そしてうららの背を追いながら自分たち全員が導かれるままに辿ってきた、金色の道。
淡く光を放つその道は、砂漠の地平線の向こうまでまっすぐ伸びていた。