ストレイ・ハーツ〜夢みる王子のねがいごと〜
「…はー、つかれた…もーヤだ歩きたくない」
大きく息を吐き出しながら、どこか億劫そうにリオが零した。
「…残念だったな」
リオの言葉に応えるわけでもなく、ふいにアオが口にしたその言葉をリオの視線がを捉える。
だけどすぐに放棄した。
なにがだろう、と他人事のようにぼんやり耳を傾けながらも、さして興味もないうららはとにかく足を動かす。
夕闇がすぐ後ろまで迫っていた。
アオは無表情のまま言葉を続ける。
「時間が流れているということは、お前のアレも健在ということだろう」
アオの言葉の先にいるリオは、感情も表情も関心もまるで無いように無反応だった。
「いずれ分かることだ。行動を共にするなら君たちも知っておいた方がいい。言ったろう? 彼も〝有名人〝だと」
アオの視線が移動し、うららとソラに向けられる。
その視線を受けながらも言っている意味がわからないうららとソラは顔を見合せた。
レオは我関せずを決め込んだように無反応だ。
困惑しながらも、アオに視線を返す。
「…なにを、ですか…?」
いたたまれない空気に口を開いたソラから視線を外し、アオが指先でメガネのフレームを押し上げる。
「リオは、記憶障害を持ってる。3日間しか記憶が保てない」