パズルのピース
神崎 隼人(カンザキ ハヤト)。
女好きで軽い男で、『ありえないだろ』と言いたいくらいかなりのイケメン。
入学当初からしつこくつきまとわれている。
隼人は神崎財閥の息子。
ふわふわで栗色の髪は、ワックスで軽く遊ばせていて、鼻筋が通っていて、綺麗に顔が整っている。
いつも愛用している、左耳だけにつけているピアスと十字架のネックレスはシルバーですごくシンプル。
だけど、それが大人っぽくてとても隼人に似合っている。
「神崎は愛に似合うと思う」
麗奈までそんなことを…。
あたしはあんな軽い男のどこがいいのかわからない。
見た目がいいのはわかっている。
だけど、中身は女たらしの最低男じゃん。
あたしはそんな奴彼氏にするなんてありえない。
「無理。アイツほかにも女いるし」
「でも本命は愛じゃーん」
「あたしが本命なら、普通女遊びやめるでしょ」
アイツはあたしに、好き好き言ってくるくせに、全く女遊びをやめる気配はない。
「…愛が言えば神崎やめるかもよ」
麗奈の言葉に、ユリも瞳も「そうだよ!」と言いながらあたしを見る。
でも…それを言って本当にやめてあたしが隼人と付き合うことになったら、たまったもんじゃない。
「いや、あたし付き合う気なんてないから、言う気もない」
そう言うと、ユリと瞳はガッカリし、麗奈は「ふーん」と興味なさそうに言った。
その後、あたしたちが真面目に授業を受けるわけもなく、昼食の時だけ食堂に行き、後は放課後になるまで屋上で過ごした。
「んー…もう学校終わったし、帰ります?」
今まで眠っていたユリが口を開いた。
「帰ろうか」
「はぁーい」
「うん」
校門まで歩いていくと、4人の迎えのリムジンが4台停まっていた。
「じゃ、また明日」
「ほいほーい」
「ばいばぁい」
「じゃね」